Aという大学で取得した単位をもってBという大学に移行できるシステムです。
一般にbachelor's degree(学士号)のための、アカデミックな架け橋(academic bridge)と言われたり、高等学校との間の踏み石(stepping stone)等と言われたりしています。
4年制の大学の間ばかりでなく、短大の2年間で取得した単位を持って、4年制の大学の3年にも進学できるのです。
しかし、これは時間のロスを意味するものでもなければ、取得単位のロスを意味するものでもありません。ましてや金銭的な損失をこうむるものでもありません。
むしろ学生が取得した単位を尊重する姿勢が感じられます。日本や他の国にない、アメリカの大学独特のシステムです。
トランスファーを希望する学生からは、次のような質問をされます。
- いつトランスファーをしたらよいのか。
- どうしたらトランスファーできるのか。
- 学年の途中でトランスファーできるのか。
アメリカの大学ではこのような問題を処理するために専門のカウンセラーを置いており、よき相談相手となってくれます。自分が籍を置く学部の教授の助言を受けながらカウンセラーに相談し、次のチェックリストに基づいて、整理するといいでしょう。
- 専門課程で何をやるのかを、まず決定すること。
それに基づき進学する大学をその特色、評判、所在地、経費等を勘案して決めること。
- いくつかの大学を選び、その大学からカタログを取り寄せ、その大学に対する理解を深めること。
- 自分の計画に自信がなければ、トランスファーカウンセラーに相談すること。
同じ州内の大学の資料は、どこの大学でもだいたい完備している。
州外の大学については直接問い合わせて、トランスファーを受け入れるかどうか、確認しなければならない。
- .S.A.T.(Scholastic Aptitude Test 進学適性試験)のスコアが必要か否か確認すること。
これはアメリカの短大、大学に入学するとき要求される試験で、英語と数学の基礎学力をみるためのものである。アメリカの高校生を対象にしたテストであるが、留学生に対しても要求するところがある。
- 普通、2~3通の推薦状を要求されるから、自分のことをよく書いてくれる教授を日頃から物色しておくこと。
- 入学願書およびそれに付属する書類は、注意深く記入するのはもちろんだが、書き上げたら第三者にチェックしてもらうこと。
担当教授、カウンセラーに見てもらえれば、なおさら良い。
以上がトランスファーにあたってのチェックポイントですが、9月からの新学期にトランスファーを希望するならば、その年の1月か2月には、このチェックリストに基づき行動をおこすことが必要です。
各大学の受付開始日や締め切り日をよく注意しておくこと。学年の半ばにトランスファーを希望する場合は、希望する大学によっていろいろ条件があるので、締め切り日、進学枠の有無、特に自分の希望するコースに入ることができるかどうか、十分注意する必要があります。
アメリカのコミュニティカレッジは、コミュニティカレッジからのトランスファーの有利な点として、次の項目をあげています。
- 最初の2年間、短大における授業料が安い。
- 4年制大学の入学に際し、特別な考慮が払われる。
(地元の4年制大学と契約を結んでいる短大が多い)
- 進学にあたり、個人的なあらゆるアドバイスを受けることができる。
- 高校時代の成績が悪くても、短大でがんばれば、その成績が進学先の大学で考慮される。
- 短大はクラスが小規模で、学力、英語力アップのための環境がいい。
コミュニティカレッジからのトランスファーは、もちろん2年修了する前にも可能ですが、2年を修了し、(A.A.)(Associate in Arts 準学士)を持ってトランスファーをする方が、一般的に次のような利点があると言われています。
- 進学先の大学から特別配慮をはらってもらえる。
すなわち、GPA(grade point average 成績評点平均値)が2.0以上だと、普通の大学なら大体無条件に入学許可されます。 A.A.を持たない場合は、1つ1つの学課をチェックされることになります。
- 進学先の大学から、スカラシップをもらえる資格が生じます。
- A.A.を持たないでトランスファーする学生より、アカデミックな面で一歩先んじています。
普通、2年制大学の卒業には64単位が必要とされています。しかしこのうち絶対にとらなければならないコースがあります。
例えばセントルイス短期大学の場合、AA(Associate in Arts Degree 準学士号)取得に必要な条件として、次の分野から41単位取ることが必要です。
- Communication Skills in the English Language
(英語によるコミュニケーション技術):3コース取得のこと。
- Humanities
(人文学-文学、歴史、哲学等):最低2部門から3コース取得のこと。
- Physical and/or Biological Sciences
(自然科学-物理、生物、科学等):実験分野1コースを含む最低2コース取得のこと。
- Mathematics
(数学):大学代数1コース取得のこと。
- Social and Behavioral Sciences
(社会・行動科学-社会学、経済学、政治学等):最低2部門から3コース取得のこと。
- Physical Education
(体育学):2単位取得のこと。
1コースは3単位か4単位。仮に人文科学で数多くの単位を取り、社会科学で1コースしか取らなかった場合、全体の単位が64単位に達していてもAAの資格を取ることはできません。
しかしトランスファーすることはできます。その条件として、2年制大学で取得するコースを決めている場合があるので、カウンセラーとよく相談してコースを選ぶ必要があります。
日本の大学の単位はアメリカの大学にトランスファーできます。
特に教養課程(専門課程でない、主として1~2年で取得)の単位は、そのほとんどを認めてもらえます。認めてもらうには各課目の授業内容、授業時間数などを詳しく記載した英文の資料を送る必要があります。
トランスファーする先の大学の授業内容と大きく違っていたり、授業時間数が違っていたりすると認められません。アメリカの一般大学の一科目の単位数は3~4単位です。1単位の授業時間数はだいたい15時間ですので、3単位の課目は45時間の授業時間ということになります。これが、日本の大学で30時間くらいの授業数しかない場合には、まずトランスファー出来ません。
当然のことながら、成績も当然チェックの対象になります。
それから、大学の優劣も関係あるでしょう。トランスファーする最初の大学は、自分の入っている日本の大学と同じ程度のレベルの大学を選んだら良いでしょう。アメリカの大学に入ってから、その大学で非常に良い成績をとれば、更に一流大学にトランスファーし、人もうらやむ卒業証書を手にすることも可能でしょう。
なお、専門課程に入ってしまいますと、専門課目のトランスファーはかなり難しくなるようです。大学によって違いがあるので一概には言えませんが、早くアメリカの大学を卒業したいと思うならば、いくつかの大学にあたってみてから、日本の大学での取得単位を多く認めてくれる大学にトランスファーしたら良いでしょう。
日本の大学の単位はアメリカの大学で認められても(トランスファーできても)、アメリカの大学の単位は、日本の大学では認められません。
「どうして」と聞かれても、これは文部省のエライ人に聞いてくれというより仕方ありません。
日本の文部省の考え方は(最近は規制緩和の激流のためいくらか変わってきているようですが)、「大学」というのは、日本の文部省が認めたものが「大学」であって、それ以外の外国の高等教育機関は大学ではないのです。
ですから、アメリカにある3000校以上の「アメリカの大学」は、日本の文部省の役人にいわせれば、各種学校であって「大学」ではありません。これら役人の考えを分かりやすくいえば、「ハーバード大学」という、各種学校がアメリカにはあるということになります。
この考え方を当然と考えるのか、あきれて言葉にもならないと考えるのか、あなたの胸に良くお聞き下さい。
ですから、文部省やその指導を受けている高等学校の教師達は、アメリカの大学を卒業しても「大学卒」の資格は取れないから、外国留学は慎重に考えろと指導しています。
今は日本の各大学で、外国の大学と単位互換の契約を結んでいるところが非常に多くなっているようですから、そのような制度を利用すればある程度はアメリカの単位を認めてもらうことが出来るでしょう。
その他、日米間の教育には非常に多くの障壁が横たわっています。
例えば留学ビザの問題など。日本人学生は、アメリカで長期滞在ビザをもらえても、アメリカ人学生は日本の滞在ビザをもらうのは大変な作業が必要です。
アメリカのモンデール大使もこれを非常に重要視し、規制緩和の撤廃に文部省と強腰の折衝を続けてきています。そのためもあり、文部省もいくらかは重い腰を上げているようです。